映画『スカイラブ』-ブログ・レビュー

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『スカイラブ』はフランスのブルターニュで暮らす祖母の誕生日を祝う為に24人の親戚一同が1979年の夏の大家族親睦会に集まり、楽しいひと時を共に過ごす様子や、可憐な少女の心のあり方や成長をユーモラスに描いた作品。当時大反響を巻き起こしたので記憶に残っている人も多いと思うが、NASAの宇宙ステーション・スカイラブの墜落地点が予測できずに大騒ぎになったあの夏の話である。

祖母の家の近くにスカイラブが墜落するのではと心配する母親アンナ(ジュリー・デルピー)とその娘、十代の少女、アルベルティーンを軸に書かれたこの映画の監督を務めるのもデルピー。宇宙ステーションの墜落そのものは含意としてとどめ、デルピーは田園の暖かい日差しの下、祖母の家の庭に集まり楽しく酒を飲み、懐かしい歌を歌い、ラムのバーベキューを食べながら、大人達はセックスや政治の話をし、子供たちは楽しく遊ぶ、そんな姿ををコミカルで時にはシリアスに描き、複数の登場人物達の微妙な関係を表現しながら見る人のモラルを呼び起こす。

ざっくばらんに冗談を連発しながらも娘を愛し自由に育てようとするアルベルティーンの父親には親しみを感じる。海水浴に出かけ父親と蟹をとりにいったアルベルティーンはヌーディスト・ビーチに迷い込み、なんとそこで初恋の人と出会う。そしてその晩、異性にはまだ疎いアルベルティーンはポップな曲が流れるディスコでその彼とダンスをし、その夢のようなひと時は少しだけほろ苦い心の旅として彼女の記憶に刻まれる。

観客はしばしの間、成長したアルベルティーンと映画の中で出会うことができる。大家族の中で育ち成長したアルベルティーンの大らかな性格の描写は女性監督ならではで、彼女に出会えて良かったという余韻を残す。

「スカイラブ」及び「ベルヴィル・トーキョー」と「グッバイ・ファーストラブ」
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