2015カンヌ映画祭:マッテオ・ガッローネの『Tale of Tales』レビュー

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白塗りの部屋の大テーブルの中央に腰掛けるサルマ・ハエックは食欲旺盛に鼓動を打つ大きな心臓を食す。これはマッテオ・ガッローネの映画『Tale of Tales』の場面写真でカンヌ映画祭でのワールド・プレミアに至るまで、ソーシャルメディアを行き来したものだ。ハエックの食事のシーンはコンペティション部門にエントリーを果たしたイタリア人監督の空想に満ちた三つのおとぎ話を描いた構成のターニング・ポイントになっている。

17世紀ナポリの著者ジャンバティスタ・バジーレの物語から脚色された『Tale of Tales』はヴァンサン·カッセル、サルマ·ハエック、トビー·ジョーンズ、そしてジョン·C·ライリーが演じる三つの王族の語となる、母親になろうと固く決意する女王、女の尻を追い回すことがやめられない性欲に飢えた王、そして娘を犠牲にしても蚤に執着する老いた君主を織り交ぜている。

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「作家が一般的に知られていないのは理不尽だと思っている」とガッローネはカンヌでの『Tale of Tales』の記者会見でバジーレを語る。1556年にナポリで誕生したバジーレは子供を楽しませることを目的におとぎ話を書き、後にハンス・クリスチャン・アンデルセンやグリム兄弟に影響を与える。

「映画の重要な発想は欲望、限界を超えて妄想へと変わる欲望だ」とガッローネは付け加える。

バジーレの物語に魅力を感じたのはその普遍性と自らの登場人物に対する情熱だったと説明するガッローネ。46歳の監督は『剥製師』(02)、『ゴモラ』(08)、『リアリティ』(12)は互いに異なるように見えるが、登場人物の好みという意味では共通すると認めている。

明るく、色鮮やかな登場人物や背景で満ちている『Tale of Tales』には一部の視聴者に衝撃を与える場面もある。「私たちは、映画の原点に戻り、観客を驚かせることになるイメージの創造を試みた」とガッローネは語る。

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『Tale of Tales』は細心の注意を払い用意した手作りセット、小道具や豪華な時代物のコスチュームがふんだんに使われている。ハエックが海の怪物の心臓を貪る、子の授かりを妨げる呪縛から彼女を解放させる為の行為だが、そのシーンは実に気色悪い体験である事は驚くべきことではない。

「監督は心臓のシーンを完璧に撮りたかった。私が一口それをかじれば血管がなくなったのが分かるくらいに」とハエックは声を上げる。

ガッローネはパスタやキャンディを使い解剖学的に正確な臓器を作り上げた。ハエックが心臓を貪り食うクローズアップは吐き気を催す時は吐き出せるようにカメラのフレームを調整した。『Tale of Tales』の登場人物の妄想を語る監督だが、その特徴は登場人物から監督へとうつっているようだ。

「メソッド演技法を行う俳優がいるようにメソッド・ディレクターもいる」と記者会見の場で語るハエック「監督は到着すると直ぐに自らの世界に没頭する。その世界にそぐわない事が起こると解決するまで追求する」

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ガッローネは自ら努力し反映させた、生きいきとした映画の究極のおとぎ話の中で楽しんでいるようだ。

「確かに誰もが理解する事のできる登場人物ではあるが物語は思いもしない方向へと進んでいく。とても特有な方法でたぐいまれな場所へといざなう」と監督は述べた。

(Film Comment 訳)

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