リチャード・アヨエイド最新作 『ザ・ダブル/分身』

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2010年、『サブマリン』(東京国際映画祭2011出品作)で監督デビューを果たしたリチャード・アヨエイドの新作 『ザ・ダブル/分身』は、1846年にフョードル・ドストエフスキーによって執筆された 『分身』の映画化。アイデンティティ、妄想や情け容赦のない自己嫌悪を描いている。脚本はアヨエイドとアヴィ・コリンが共同執筆している。

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ジェシー・アイゼンバーグ扮するサイモンは一人暮らしの気の小さい男で、自分に対して無頓着な世界で、消えそうなほど孤立した存在。仕事ではまったく考慮される事が無く、共感に欠ける母親には常に軽蔑され、アパートの窓から望遠鏡でのぞく夢に描いていたような憧れの女性、ハンナには無視され、消えて無くなってしまいそうな人間。そんな自分を変えようという意欲さえも持っていないサイモン。しかし、会社の新たな同僚となるジェームズがサイモンの世界の微妙なバランスを破壊し始める。サイモンから見るとジェームズは自分と瓜二つなのだが、彼は自分が持ち合わせていない自信やカリスマを持っていて、女性にも受けが良い。ジェームズはサイモンが密かに好意を寄せるハンナにも手を出そうとする。ジェームズはゆっくりとサイモンの世界を乗っとり始める。

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共同脚本を執筆したアヴィ・コリンの兄、ハーモニーの友人でもあるハンナ役のミア・ワシコウスカはアヨエイドの『サブマリン』を見て感激して作品への参加を決めたと言う。アヨエイドとの仕事は充実感を得る事のできる経験だったと言うミアは、「演出する際の指示は非常に分かりやすくて、俳優の扱い方もとても繊細、役者の魅力を引き出す方法を良く心得ている」と述べている。さらに「監督としてのアヨエイドの題材の扱い方や、彼が持っている映画の雰囲気作りに対する明確なビジョンは、作品のレベルを向上させた。アヨエイド監督は非常にユニークな物の見方ができて、時間と空間の不透明な設定に、力強いビジョンを加えることで、見る人によって異なる意味を持つ映画を作り出している。」と言う。

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『ソーシャル・ネットワーク』と『ゾンビランド』のスターで、本作品の主役でもあるジェシー・アイゼンバーグもミア・ワシコウスカの作品に対する心情に共鳴している。「『ザ・ダブル/分身』に出演できた事はとっても楽しい経験になった。アヨエイド監督のすること全てに驚かされた。映画に登場する全ての部屋、全てのシーンの、時間と空間が不透明のままで描かれているのです。撮影する際にリチャードは当たり前の事を好みませんでした。例えばある俳優が一風変わったアイディアを抱いて撮影現場に来たとします。普通の監督でしたら通常の映画のシーンに当てはまるように、アイディアとは異なった演出の仕方をしますが、リチャードは違いました。彼は一風変わった俳優達の想いを極限にまで押し通しました。役者たちに達成感を与えるには素晴らしい演出方法です。」

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「アヨエイド監督の前作の『サブマリン』は感情の豊かな場面が多く、可笑しくて尚且つリアルでとてもユニーク、二度続けて見て、今まで見た映画の中で最も素晴らしい作品の一つになった」と言うアイゼンバーグはさらに、彼と出会い、鋭敏な感覚の持ち主であることを知り、作品が醸し出すアーティスティックな感覚は正に彼の物だと自覚したと言う。

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アイゼンバーグは『ザ・ダブル/分身』に出演するにあたり、一人二役を演じる事になった。「俳優にとって本当に良い機会だと思いました。リチャードには善と悪が対立する古典的な喜劇を作るつもりは無かった。もっと心理的で複雑な物を目指していたのです。」役作りをする際に、サイモンの感情的な口調が定まれば、ジェームズの役作りは楽くだったというアイゼンバーグ。「サイモンのキャラクターの感情反応は大げさで、芝居じみています。彼はディストピア=暗黒郷の中で生きているからです。ジェームズは同じ世界にいるのですが、ユートピア=理想郷の中で生きています。」撮影中、サイモンの役を演じてその日が終わると、自己嫌悪に落ち入り、惨めな気持ちになって家に帰るというジェシー。落ち込むと同じカットを何度もやり直したくなるそうです。

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スタッフ
監督/脚本:リチャード・アヨエイド
脚本:アヴィ・コリン
エグゼクティブ・プロデューサー:マイケル・ケイン
プロデューサー:ロビン C・フォックス
プロデューサー:アミナ・ダスマル
撮影監督:エリック・アレクサンダー・ウィルソン
編集:ニック・フェントン
編集:クリス・ディケンズ
音響:マーティン・ベリスフォード
音楽:アンドリュー・ヒューイット
美術:デヴィッド・クランク

キャスト
サイモン/ジェームズ:ジェシー・アイゼンバーグ
ハンナ:ミア・ワシコウスカ
パパドプーロス:ウォーレス・ショーン
ハリス:ノア・テイラー

第26回東京国際映画祭での上映スケジュールはこちら

http://tiff.yahoo.co.jp/2013/jp/lineup/works.php?id=C0008

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